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わんちゃんとの出会い
もう20年も前のことになる。夜遅く 犬の泣き声がする。訴えるような泣き声だった。どうしたんだろうと 家内と外へ出て見た。どうもおとなりの縁の下からみたいだった。おとなりは その時空家になっていた(今は駐車場)。

縁の下からでられず 泣いていた。手をのばすと まだ目も見えていない子犬だった。外は 寒く かわいそうにと言いながら胸にくるんで 連れて帰った。そのときすでに 子犬を飼っていた。二匹もどうしようかと考えたが何とかなるだろうと 思っていた。
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元気なわんで すぐに大きくなってきた。犬小屋が一つしかない。もう一つ作った。ひとまわり大きな小屋を作った。今までいる犬を大きな小屋、わんを小さな小屋へと入れることにした。
朝起きて見ると 入れ替わってすましている。次の日も、また次の日も。先輩 後輩を知らん奴…と思っていたが あとになってわかった。わんは自分が 先輩より大きくなることを知っていたのだ。
不思議なことに あとで作った小屋は のちのちまでわんにぴったりの住まいとなった。
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この二匹は愛称が悪かったみたいで どうしょうと思い悩んでいた。やっぱり捨てられていたんだから…と悪いとは知りながら・・・それでも ひょっともして仏様が助けてくれるかも・・・と田舎のよく知っているお寺の前に…わんのその時の目は今でもおぼえている。何ともいえない澄んだ目だった。

家へ帰って無言のまま…家内とどちらが言うともなく 「まだ間に合うかな。あそこにまだいるだろうか。」 今度は二人で 車を飛ばした。
先ほどは いなかった子供達にだっこされて まだそこにいた。一枚の絵のようにきれいな光景だった。
不思議そうにみつめる子供達をしりめに…。

この瞬間わんは 私、我が家の大事な子供になった。 
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わんちゃんのエピソード
わんちゃんは我が家の3人の子供達とともにすくすく育つ。驚いたことにめったにほえなかった。前からいた犬は一日中ほえていた。どうしても番犬にと こわれて田舎のおうちにもらわれていった。商売をしているので お客様にほえられては困る…そんなことを 知っていたのかも知れない。

あるとき 年いったおばあちゃんが わんちゃんはいませんか?とたずねてこられた。
今 散歩に行っていますよ。と言うと 「この間 お寺さんのお説教のなかで 一度見に行くといい。」と言われたそうだ。詳しく聞いてみると うちのわんちゃんは 道路を横断するとき赤信号でとまり 青になるとわたったそうだ。それにめったなことで人にほえない。まったくりこうな犬だ。犬でこそこうだ。まして 人間は云々…というようなお話だったらしい。
おばあちゃんは わんちゃんに合えず残念がって帰っていかれた。

その日 わんちゃんが 家族のみんなから頭をなでられ ほめられた事は いうまでもなかった。 
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わんちゃん危うし!
長い間に もうだめか、と思われた命に関わる事件が2度訪れた。1度目は 毒入りの餌を食べてしまった時だ。

幸い 近所にA獣医さんがいた。必死で頼み込み わんちゃんを助けることだけしか頭になかった。先生は無理だろうけどやれるだけ やってみようと何本も注射を打った。暗くして安静が大事とのことで 3日間お店のシャッターを降ろしつきそった。世間のことも仕事も何も考えられなかった。わんちゃんが苦しむたび胸が痛んだ。

幸い 何日かして元気が戻ってきたときの喜びはたとえようもなかった。
A先生には もう一度お世話になることになる。
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