ツツジとサツキ
「ツツジ」がきれいな季節です。いや「サツキ」だよと言われる方もおり、ツツジとサツキの区別はどこでつけるのでしょう。
江戸時代にはツツジとサツキはしっかり区別されていたそうです。サツキと言えば戦国の世、明智光秀の
「ときは今天が下知(したしる)五月(さつき)哉」(明智軍記)
愛宕山にての連歌会の句が有名でつい連想してしまいます。
ツツジには大変多くの種類があり園芸品種では二千種とも言われています。普通ツツジはヤマツツジ類、サツキ類、コメツツジ類、モチツツジ類に分けられるそうです。私がよく散策する福井県越前市粟田部町にある花筐公園に多く見られるツツジはヒラドツツジであり、あとキリシマツツジ、それにサツキがあります。ヒラドツツジは名前の通り長崎県平戸市がルーツでありどうやら武家屋敷の庭に咲いていたとか、キリシマは同じく鹿児島県の霧島山のヤマツツジからでありこれも江戸時代からの園芸ツツジの草分けであるそうです。アザレアという名前もよく聞きますが、これは中国産を元にヨーロッパで品種改良されたもので鉢植えとして人気があり地元商店のフラワーセールなどで扱った記憶があります。
北は北海道のムラサキヤシオから、オオバツツジ、アケボノツツジ、レンゲツツジ、チョウジコメツツジ、オオヤマツツジ、ウンゼンツツジ、南は沖縄のケラマツツジなどなどまだまだ数多くのツツジがあり、もちろん私に見分けなどできようはずもありません。
さて、ツツジとサツキの違いですが、ヒラドツツジなどは葉が大きく背が高い。これに対しサツキはツツジと比べ遅咲きであり40〜50センチと背が低い、そういった見分け方が分かりよい。地元には古来レンゲツツジやネジキなどツツジ科が、それぞれリュウマチやくだし薬として使用されていた効用記録もあります。またツツジは農耕のカレンダー代わりとしても重宝され、またその花が多く咲く時は雪多くしてその年豊作になるとも伝えられ、大変神聖な花とされてきたようです。
光秀、「色も香も酔いて進むる花の下・・・」サツキの美しさを心に描きながら連歌会にて虚心に詠んだ句と想像してみたい気がしてきます。
「ときは今雨がしたしる五月(サツキ)かな」
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