ざぶとんざぶとん

 座蒲団(座布団)と言えば、すぐに「笑点」が浮かびます。40年も続く長寿番組であるそうです。最近、笑点のホームページを見ますと、企業や自治体などからの公演依頼を柔らかく断っています。番組製作の自主性を堅持する為だそうですが、万人に支持される長寿の秘訣はこういったことにもその一因があるかも知れないと驚かされます。

 最近法事の席で、座蒲団の敷き方に前後があると知りました。座蒲団をよく見ると横に縫い目があります。この縫い目のないところが前になるようです。ですから、並んで座ると後ろの人は座蒲団の縫い目を見ることになります。試しに、娘に知っているか聞いてみますと、礼法で習うよ、との軽い返事に、みなさんご存知のことなのかも知れませんね。同じく畳にも前後があるそうですが、これはまたの機会といたします。

 座蒲団の語は「坐蒲(ざふ)」という言葉で『正法眼蔵坐禅儀』に出てきます。正法眼蔵は曹洞宗の開祖道元禅師の著述であり、曹洞宗永平寺は越前を代表する古刹で有名です。

 さて、坐禅(ざぜん)は坐蓐(ざにく)あつくしくべし、とあり径1尺余(約30センチ)の円形の蒲団を用いるとあります。また、脊骨(せきこつ)のしたは蒲団にてあるなり、ともあり人にとっての大事な部位を大切にしています。

 お年寄りの方から、座蒲団を敷きなさい、とよく言われますが、これは長く板の間などで胡座すわりをすると痔になることが多いそうです。お客様にお出しするのが座布団とのイメージが強いですが、こういったことからも、これからは座蒲団をもっと自身日用のものとすることが大事なのかと思います。

 元旦でもあり出発は身近な座布団から、座布団三枚!の声が聞こえると嬉しいのですが。読んでいただきありがとうございました。謹んで、明けましておめでとうございます。 2005 1/1

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