安達実積氏プロフィール

 故安達実積氏は戦前より平成までの60有余年、県内外の水墨画界で活躍。「薄墨社」を主催し水墨画の普及に努めながら、日本南画院文化賞や福井県文化賞を受賞するなど、福井県南画界の至宝と賞賛されました。墨色鮮やかに緻密に構成され、独特の画風で描き出された郷愁あふれる故郷の情景は、多くの人々を魅了し今も受け継がれています。また、小中学校長歴任後、今立町長として三期12年間勤めるなど、地方自治や文化振興にも大きな足跡を残しています。今回の展覧会では水墨画35点、掛軸22点を展覧し、後進にも大きな影響を与えた安達氏の足跡を紹介します。

安達実積展 2004年10月1日〜10月24日
主催/今立町・今立町教育委員会 協力/薄墨社



安達氏との思い出

 晩年、安達氏は白髪の紳士という風でした。きりっとした頬の線をお持ちで、ちょっと近寄り難いところがありましたが、画材に使う金箔をお渡ししたり、個人的にお話する機会もあり、見かけとは違う親しみのある方だと思った記憶は、まだ新しいものです。氏の自宅は粟田部の山際に今でもひっそりと建っています。ちょうど、その自宅裏には蘇我倉山田石川麻呂の霊廟があり、粟田部を代表した氏と粟田部ゆかりの石川麻呂との深いご縁を感じたものです。現在、氏の研究された源義経の兄弟である源範頼に興味を持っています。氏に対しても恥ずかしくないものができるといいと念じています。また、京都の大きな美術館へ薄墨社のみなさんの水墨画の作品を見学にいったりもしました。その時の安達氏の作品は大きな黒い牛が画面いっぱいに描かれていて大変驚いたことなど思いだします。

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